
「リスクリワード1:3で入ってるのに勝てません」
FXをやっていると、一度はこう思ったこと、ありませんか?
- 勝率は悪くない
- 損切りもちゃんとしている
- リスクリワードの良い場所でエントリーしている

それなのに――
なぜか資金は横ばい、あるいはジリ貧になっていく。
結論から言います。
あなたの「1:3のはず」が、現実では「1:1」になっているからです。

この謎を解く鍵が、「期待リスクリワード」と「実現リスクリワード」の違いにあります。
今日は、多くのトレーダーが資金を溶かすこの「見えないズレ」について深掘りします。
期待リスクリワードとは?(エントリー前の設計図)
まずは「期待リスクリワード」から。
これは一言で言うと、「トレード前に思い描いている、理想の儲け方(皮算用)」です。
エントリー直前、チャートを見てこう計算しますよね。
- 損切り位置:−10pips
- 利確目標:+30pips
「よし、リスクリワード1:3だ! 勝率40%でも十分プラスになるぞ」
この時点では、誰もが冷静で、計算も完璧です。
チャートの右側が見えていない状態でのプラン、これが期待リスクリワードです。
実現リスクリワードとは?(突きつけられる現実)
次に「実現リスクリワード」。
これは、「実際に決済ボタンを押して、口座残高に反映された結果」です。
多くのトレーダーの履歴を見ると、残酷な現実が浮かび上がります。
ケース:勝率50%で10回トレードした場合
期待通りなら資産は大きく増えるはずですが、現実はこうなりがちです。

| 回数 | 勝敗 | 期待(計画) | 実現(現実) |
|---|---|---|---|
| 5回 | 負け | -50pips (-10×5) | -50pips (きっちり損切) |
| 5回 | 勝ち | +150pips (+30×5) | +50pips (+10×5) |
| 合計 | - | +100pips | ±0pips |
ご覧の通り、「勝った時の利益」だけが計画の3分の1に縮んでいます。
スプレッドや手数料を含めれば、トータルではマイナスでしょう。

「手法が悪い」のではなく「実行」ができていないのではないでしょうか。
なぜ「1:3のはず」が崩れるのか?(プロスペクト理論)
なぜ私たちは、計画通りに待てないのでしょうか?
これは意思が弱いからではなく、人間の脳の構造(プロスペクト理論)が原因と言われています。

含み益は「恐怖」に変わる

人間は「利益を得る喜び」よりも「利益を失う痛み」を2倍強く感じると言われています。
含み益が出た瞬間、脳はこう叫びます。
「今すぐ確定させろ! 幻になったらどうするんだ!」
👉 結果:チキン利食い(リワードの縮小)
含み損は「希望」に変わる

逆に、損失に対しては鈍感になります。
「もう少し待てば戻るかもしれない」という根拠のない希望を持ちます。
👉 結果:損切り遅れ(リスクの拡大)
この本能に従っている限り、リスクリワードは必然的に悪化し続けますよね。
実現リスクリワードを劇的に改善する「2つの道」
では、どうすればこの「ズレ」を修正できるのでしょうか。
アプローチは2つ思い当たります。

アプローチ①:メンタルを鍛えて「利を伸ばす」
これは王道ですが、修羅の道です。
「戻されるかもしれない恐怖」に耐え、目標レートまでチャートを見ないようにする訓練が必要です。
まずは「損切り幅の2倍までは絶対に決済ボタンに触らない」という鉄の掟を作ることから始めましょう。
アプローチ②:テクニックで「損を削る」
実は、こちらの方が即効性があります。
利益を3倍(+30pips)に伸ばすのが精神的にキツイなら、損失を3分の1(-3pips)にすればいいでしょう。

【トレーリングストップの活用】
相場がある程度順行したら、損切りラインを「建値」や「微益」の位置に移動させます。
- 利益:+10pips(チキン利食いでもOK)
- 損失:±0pips(建値撤退)
これなら、計算上のリスクリワードは「無限大」になります。
利益を伸ばすのが苦手な人は、「負けを徹底的に小さくする(実現リスクを削る)」方向に舵を切るのも、立派な戦略です。
今日から使えるシンプル対策
精神論だけでは勝てません。具体的なルールで行動を縛りましょう。
ルール①:半分ルール

「目標の半分まで伸びたら、半分利確して、残りは建値ストップ」
これなら「利益を確保したい欲求」を満たしつつ、「大きく伸ばす可能性」も残せます。メンタル的に最も楽な方法です。
ルール②:O.C.O注文の徹底

「エントリーと同時に指値・逆指値を入れたら、約定するまで画面を閉じる」
チャートを見なければ、迷いも生まれません。兼業トレーダーには特におすすめです。
ルール③:記録をつける

自分のトレード履歴を見返し、「期待RR」と「実現RR」を計算してみてください。
数字として「ズレ」を認識するだけで、翌日のトレードは必ず変わります。
まとめ:FXは「どこで終わったか」が全て

FXは、「どこで入ったか(エントリー精度)」を競うゲームではありません。
「どこで終わったか(決済精度)」で口座残高が決まります。
「素晴らしいエントリーだったのに、微益で終わった」
これを繰り返しているうちは、資金は増えません。
エントリー前の「皮算用」ではなく、決済後の「現実」にフォーカスし、
「利益を伸ばす」か「損を削る」か、どちらかの武器を磨いていきましょう。